「サバヒー」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
m 日本の事情について追加。 |
編集の要約なし タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集 |
||
(36人の利用者による、間の48版が非表示) | |||
1行目:
{{出典の明記|date=2021年7月}}
{{生物分類表
|名称 = サバヒー
|画像キャプション =サバヒー成魚 ▼
▲|画像=[[画像:Milkfish.jpg|220px]]
|画像2=[[画像:サバヒー幼魚.jpg|250px]]
▲|画像キャプション =
|画像キャプション2=サバヒー幼魚、奄美大島
|省略 = 条鰭綱
|亜目 = [[サバヒー亜目]] {{Sname||Chanoidei}}
▲|目 = [[ネズミギス目]] [[w:Gonorynchiformes|Gonorynchiformes]]
|
▲|科 = '''サバヒー科''' [[w:Chanidae|Chanidae]]
|種 = '''サバヒー''' ''C. chanos''
|学名 = ''Chanos chanos''<br /><small>(
|英名 = [[:en:Milkfish|Milkfish]]
}}
'''サバヒー'''(虱目魚、
==
漢字は'''虱目魚'''と書く。
サバヒーは主に[[インド洋]]から西[[太平洋]]の[[熱帯]]及び[[亜熱帯]][[水域]]に広く生息している。形態的には、[[ニシン]]や[[イワシ]]の仲間に比較的近い。成魚の体長は通常1m前後であるが、自然の状態では最大1.7mほど(寿命約20年)にまで達するものも中にはある(養殖の場合はそれよりもかなり小ぶりであり、通常30~40cm程度で出荷している)。ほっそりした体型で尾鰭の切れ込みが深く、両葉が細長くなっている。[[藍藻]]、[[珪藻]]、[[緑藻]]など[[藻類]]を主なえさにしており、口が小さく歯はない。海水魚であるが、広塩性で[[河川]]のような淡水域でも生息可能である。このため、通常は沿岸部に生息しているが、河口部などの汽水域や、ときに河川などの淡水域に進入してくることもある。普段は群れを作らず深いところを泳いでおり、魚網にかかることが少ないため、天然魚を目にする機会はあまりない(市場などで売られているのはそのほとんどが養殖魚)。産卵期になると、[[台湾]]の南部海岸一帯などに稚魚の群が大挙して押し寄せてくるといった習性があることでも知られている。▼
身がミルクのように白い色をしていることから、英語圏では'''ミルクフィッシュ'''(Milkfish)と呼ばれている。
=== 名前の由来 ===▼
日本では、[[沖縄]]近海に迷い込んだ例が報告されている。▼
▲== 名前の由来 ==
[[画像:MilkFish001.jpg|群れで泳ぐサバヒーの幼魚|thumb|left|250px]]
「サバヒー」
の訛りである。名前の由来について、足立倫行著『アジア海道紀行』(文春文庫) 台湾では大衆魚として古くから親しまれており、「国姓魚」(「国姓爺」鄭成功にちなんで。「国聖魚」と表記することもある)、「安平魚」([[台南市]]の安平漁港周辺が有名な産地だったため)、「麻虱目」、「海草魚」などの別名でも呼ばれている。なお、[[バシー海峡]]を挟んだ隣国の[[フィリピン]]でも、国魚と呼ばれるほどよく食べられている(「[[サバヒー#料理方法|料理方法]]」の項を参照)。[[タガログ語]]では「バングス」(Bangus)、[[インドネシア語]]及び[[マレーシア語]]、[[オランダ語]](インドネシア語からの借用)では「バンデン」(Bandeng)、[[ハワイ語]]では「アワ=アワ」(Awa-Awa)と呼ばれる。
== 特徴 ==
▲サバヒーは主に[[インド洋]]から西[[太平洋]]の[[熱帯]]及び[[亜熱帯]][[水域]]に広く生息している。形態的には、[[ニシン]]や[[イワシ]]の仲間に比較的近い。成魚の体長は通常1m前後であるが、自然の状態では最大1.7mほど(寿命約20年)にまで達するものも中にはある(養殖の場合はそれよりもかなり小ぶりであり、通常
▲日本では、[[沖縄県|沖縄]]近海に迷い込んだ例が報告されている。
== 養殖魚としての歴史 ==
主に台湾の食用魚として養殖されている。
サバヒーは産卵期になると、台湾の南部海岸一帯などに稚魚の群が大挙して押し寄せてくるため、その稚魚を捕獲して養殖することが古くから(鄭氏台湾の時代、つまり17世紀頃から)行われてきた。日本統治時代の20世紀初頭には養殖水産物の85%、終戦時から中華民国統治時代初期にあたる1940年代後半には養殖魚の60%近くをサバヒーが占めていたという記録も残っている。現在でも、[[雲林県]]、[[嘉義県]]、台南県、[[高雄県]]など中部から南部にかけての県ではサバヒーの養殖が盛んに行われており、単一の魚種では世界一の養殖量とも言われている。なお、1979年には稚魚の人工孵化にも成功し、1984年から稚魚の量産が行われている。▼
▲サバヒーは産卵期になると、台湾の南部海岸一帯などに稚魚の群が大挙して押し寄せてくるため、その稚魚を捕獲して養殖することが古くから(鄭氏台湾の時代、つまり17世紀頃から)行われてきた。日本統治時代の20世紀初頭には養殖水産物の85%、終戦時から中華民国統治時代初期にあたる1940年代後半には養殖魚の60%近くをサバヒーが占めていたという記録も残っている。現在でも、[[雲林県]]、[[嘉義県]]、台南県、[[高雄
[[画像:MilkFish002.jpg|250px|thumb|right|養殖池を紹介したパネル]]
養殖方法としては、浅水式と深水式の2通りがある。古くから行われてきたのは浅水式の養殖であり、水深
浅水式養殖は、養殖方法としては比較的簡便であるが、その一方で気候の変化を受けやすく、冬季に寒波の影響を受けて水温が下がり、養殖魚が大量に死ぬことがあること、単位面積当たりの収穫量が低いことなどの難点もある。このため、近年では水深1.
台湾では大衆魚として人気のあったサバヒーも、人々の生活水準の向上に伴って近年は高級魚に押され気味であり、卸値が一斤(約600g)約
サバヒーは低温に弱く、水温が10℃以下になると被害が出はじめ、8℃以下となるとほとんどが死んでしまう。このため、年によっては寒波の影響で養殖魚が大量に死ぬといった被害が出ることもある。最近では、2004年及び2005年の[[旧正月]]頃にそれぞれ200万匹及び100万匹が凍死する被害が出た。通常、サバヒーの値段は比較的安定しているが、そのようなときには値段が高騰することもあり、2000年の冬にもそのような被害の結果、サバヒーの値段が普段の3倍くらいにまで跳ね上がったことが報道された。
なお、台湾以外に、フィリピンなどでもサバヒーの養殖が行われている。日本では食用にはされていないが、近年では[[カツオ]]の[[一本釣り]]の餌としての養殖が始まっており、良好な結果を得ている
== 料理方法 ==
[[画像:MilkFish003.jpg|250px|thumb|right|魚肚粥(於「台南蔡虱目魚専賣」)]]
サバヒーは、台湾(特に中南部)やフィリピン、[[インドネシア]]などの[[東南アジア]]諸国ではポピュラーな大衆魚であり、料理方法も国によってさまざまなバリエーションがある。身は淡泊だがぱさぱさしており、小骨が多いといった特徴があるため、台湾では一般に[[サバヒー粥]](虱目魚粥)やサバヒーの肉団子入りスープ(虱目魚丸)などの料理方法で供されることが多い。中でも台南地区のサバヒー粥は特に有名である。
サバヒー粥は、頭を取り小骨を抜いたサバヒーの身または細かく切った切り身を煮込んだものを白飯にのせ、これに煎った小粒の[[カキ (貝)|カキ]]と各種薬味(生姜や葱など)とを一緒に煮込んだ
[[画像:Milk Fish004.jpg|thumb|250px|right|フィリピン、サバヒーの香草焼き]]
63 ⟶ 71行目:
* [[魚の一覧]]
* [[魚類]]
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
== 関連文献 ==
* 足立倫行著『アジア海道紀行』文藝春秋(文庫)1995年、
== 外部リンク ==
* [https://web.archive.org/web/20061114211623/http://homepage3.nifty.com/k-murata/ 薹南虱目魚粥の倶楽部] - 日本人にはあまりなじみのない魚であるが、日本にも一部熱心な「サバヒーマニア」がおり、究極のサバヒー粥を求めて「聖地」台南へと「巡礼」に行く様子が紹介されている。
*[http://www.takanashi.co.jp/framepage1.html 高梨産業] - サバヒーを養殖している日本の企業
{{食肉}}
{{台湾料理}}
{{Taxonbar|from=Q465261}}
{{DEFAULTSORT:さはひ}}
[[Category:白身魚]]
[[Category:インドネシアの食文化]]
[[Category:台湾の食文化]]
▲[[Category:中国の食文化]]
[[Category:アジアの食文化]]
[[Category:フィリピンの食文化]]
|