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'''児童文学'''(じどうぶんがく)は、0歳から10代、概ね12歳頃までの[[プレティーン]]の読み手や聞き手を対象にした[[文学]]作品およびジャンルであるが、[[ティーンエイジャー]]までを範疇に含む場合もある。[[イラストレーション]]が添えられている場合が多い。
 
この語は娯楽性に重きを置いている[[エンターテイメント]]作品群である[[ヤングアダルト]]小説([[ライトノベル]]{{sfn|大橋|2014|p=18}})や[[漫画]]などの他のジャンルと区別する形で使われる場合もある。明確に子ども向けに作られた書物は17世紀までには既に存在していた。児童文学の研究のための職業団体、専門の出版物、大学の専攻課程なども存在する。<!--児童書の市場規模は大きくはないが、:億部単位のシリーズが多数あるので…-->国や世代を超えて読みつがれる名作や、幅広い世代に受け入れられる[[ベストセラー]]やロングセラー作品が数多くある。
 
日本においては、子どもを対象としたフィクションの文学ジャンルについては、'''[[童話]]'''という用語が使われていることが多い。だが、空想的なお話というジャンルとしての用語として使われることもあり、昭和時代以降は、広義には'''児童文学'''が使われるようになっており、'''童話'''に関しては、年少者向けという狭義の意味合いで一般には流布している。[[出版社]]や出版業界では、こうしたものや[[絵本]]を'''児童書'''あるいは'''児童図書'''と呼んで扱っている。
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=== 子どものために書かれた本 ===
おそらく、もっとも一般的な児童文学の定義は、意図的に子どもたちに向けて書かれた本というものであろう。{{仮リンク|南フロリダ大学|en|University of South Florida}}教育学部准教授のナンシー・アンダーソン<ref name=bio>{{cite web | title = Biography of Nancy A. Anderson, EdD | url = http://www.nancyaanderson.com/ | accessdate = 2009-03-03}}</ref>は、児童文学を「漫画本<!-- comic books ..., cartoon books: 日本語だとどちらも「漫画」に -->、ジョーク集、[[辞書]]や[[百科事典]]のような通読を意図していないノンフィクション、参考書など」を除く子どものために書かれた全ての本であると定義している<ref>Anderson 2006, p. 2.</ref>。こうした作品の中には大人にも非常に人気のあるものも含まれる。[[J・K・ローリング]]の『[[ハリー・ポッターシリーズ|ハリー・ポッター]]』シリーズは当初は子どものために書かれマーケティングされていたが、子どものみならず大人にも非常に人気となり『[[ニューヨーク・タイムズ]]』が専用の[[ベストセラー]]表を作成するまでになった。ある本が一般の文学と児童文学のどちらに含まれるかは決定し難いことも多く、多くの本で大人と子どもの両方をターゲットにしたマーケティングが行われている。
 
子どもを主人公、または子ども社会とその文化をテーマとしつつ、子どもを必ずしも読者対象としていない作品もあるが、そうしたものはこの観点からは児童文学ではなく一般の[[文学]]と見なされる。
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== 内容 ==
[[Image:Cowardly lion2.jpg|thumb|220px|[[ライマン・フランク・ボーム]]『[[オズの魔法使い]]』(1900)。{{仮リンク|W・W・デンズロー|en|William Wallace Denslow}}画]]
子どもや若年者の成長への感化を念頭に置いた、教育的な意図、配慮がその根底にあるものが多く<!--全てではありませんが-->{{sfn|大橋|2014|p=103}}、子どもの興味や発育に応じた平易な言葉で書かれる。しかし難しい内容を扱わないという訳ではなく、難しい内容でも子どもに必要と考え、わかりやすい例や言葉で表現する[[作家]]もいる。平易な表現で根源的なことを語っている場合があり、子どもに受け入れられる児童文学作品には大人の鑑賞にも堪えられる秀逸なものも多い。たとえば[[灰谷健次郎]]著の『兎の眼』や[[あさのあつこ]]著の『バッテリー』など一般の文庫本となって大人読者に広く流布する作品がある。児童文学は大人向けに書かれた「文学」の価値観が持ち込まれているという指摘がある{{sfn|大橋|2014|p=18}}
 
<!-- 「児童文学」としてはややオフトピック -->
おおむね10代中・後半から20代初め頃の時期を[[ヤングアダルト]]と呼ぶが、[[児童]]の年代を超えた年齢層にも児童文学的な内容が求められる事がある。[[J・D・サリンジャー]]の『[[ライ麦畑でつかまえて]]』(1951年)に見られるように、この世代特有の問題、例えば、恋愛、[[いじめ]]、薬物依存、自殺などを扱ったジャンルも登場し、「ヤングアダルト」という名称で呼ばれる事もある。日本では[[重松清]](作品は[[ナイフ (小説)|ナイフ]]・[[エイジ (小説)|エイジ]]など)らがヤングアダルト世代向けの作品を手がけている。
 
'''創作童話'''と呼ばれる作品は文学性を有する場合が多い。創作童話は狭義の[[童話]]概念であるためヤングアダルト層は対象としないが、小学校高学年程度向けの作品も含まれる事がある。
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*{{cite book |last=Lesnik-Oberstein |first=Karin |title=Children's Literature: New Approaches |location=Basingstoke |publisher=Palgrave|year=2004 |isbn=1403917388}}
*{{cite book |last=Rose |first=Jacqueline |title=The Case of Peter Pan or the Impossibility of Children's Fiction |location=Philadelphia |publisher=University of Pennsylvania Press|year=1993, orig. pub. 1984 |isbn=0812214358}}
*{{Cite book ja-jp|author=大橋崇行|year=2014|title=ライトノベルから見た少女/少年小説史: 現代日本の物語文化を見直すために|url=http://kasamashoin.jp/2014/09/post_3009.html|publisher=[[笠間書院]]|isbn=978-4305707437|ref={{sfnref|大橋|2014}}}}
 
== 書誌 ==