峰の薬師
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峰の薬師(みねのやくし)は、江戸時代には「武相四大薬師」 [1]の一つとして多くの信仰を集めた神奈川県相模原市津久井町にある薬師堂。三井(みい)の薬師とも呼ばれた。 現在は曹洞宗の寺院で、大覚山東慶寺と号する。
概要
明治の神仏分離により、峰から降ろされ、廃堂となったが、1933年(昭和8年)に旧地に再興された。
昌平黌地理局編『新編相模国風土記稿』(巻123村里部津久井県巻8毛利庄)には
- 薬師堂 別当三井寺 基立ハ明応年間ナリト云
- 本尊 薬師 是ヲ峰ノ薬師ト号ス 或ハ三井ノ薬師ト称シテ県中ニ名高キ一区ノ旧跡ナリ 麓ヨリ頂ニ至ル十余町、峻阪盤回シテ薜羅(へいら)ヲ出ツ 爾シテ又石階ヲ登ル事百五十三級
- 頂上頗ル高ク聳テ平坦アリ 玆ニ堂ヲ構ヘテ巍然タリ 東照寺ノ額ヲ掲ク 此堂ヨリ望ム所 眼ニ遮ルモノナク 遠邇ノ山ハ蒼々靄々トシテ碧空ニ接シ 相模川ノ流ハ目下ニ素練ヲヒクカ如シ 実ニ眺望佳ナル奇境ナリ
とある。「明応年間」は1492~1501年。「本尊薬師」には「木坐像長一尺三寸行基作」、「東照寺ノ額」には「裏ニ元禄七年高座郡三井郷峰之薬師願主鎌倉建長寺裏止庵下顕水亭附之ト刻ス」との割注がある。
その他
富田常雄の『姿三四郎』では、檜垣兄弟との果し合いの場として登場する。「姿三四郎決闘碑」がある。
関連項目
参考文献
- 津久井町史編纂委員会編『津久井町史 資料編 近世Ⅰ』津久井町、2004年。