山梨県環境整備センター
山梨県環境整備センター(やまなしけんかんきょうせいびセンター)は山梨県北杜市明野村にある最終処分場。通称明野最終処分場(あけのさいしゅうしょぶんじょう)または明野処分場(あけのしょぶんじょう)と呼ばれている。
山梨県管轄の県環境整備事業団の管理運営により2009年(平成21年)に操業を開始したが、2度の汚染水漏れを起こしわずか5年足らずで閉鎖が決定した。
概要
山梨県内ではこれまで最終処分場がなく、他県の処分場に委託する形をとっていたが1990年代に入ると各地の処分場が満杯になったことから県内で処分する「自県内処理」が叫ばれるようになる[1]。
1993年(平成5年)に天野建知事は「公共関与による産業廃棄物最終処分場の整備方針」を策定し、県内のエリアを5つに分け、管理型廃棄物最終処分場を整備することを模索した[2]。このうち峡北地区については北巨摩郡明野村(当時。2004年に合併し北杜市となる。)の浅尾地区に建設されることが決定された。
これに対し村や浅尾地区の区長などは道路整備などの見返りを条件に1994年(平成6年)に建設の同意をするが最終処分場という環境破壊に繋がる施設の建設であったことから地元住民が反対派と賛成派に分かれ対立する[3]。測量妨害などの運動を起こすが、県は住民との対話をしつつ東京地方裁判所に測量妨害禁止などの仮処分を求めるなどで対抗。結果同意から12年経過した2006年(平成18年)に山梨県と北杜市などが公害防止協定を締結し、ようやく着工に漕ぎ着けた[2]。
しかし、この間国では各リサイクル法が執行され、各リサイクルが義務付けられたことで産業廃棄物の量は次第に減少。整備方針が策定された1993年から操業が開始された2009年までの間に最終処分が必要な産業廃棄物は約6分の1にまで落ち込んだ[3]。また、民間業者との競争による引取り減額の影響もあり、操業1年目の収支は1,800万円の黒字予測が大きく外れ35億円の赤字を生み出す結果となってしまった[4]。
さらに操業開始からわずか1年の2010年(平成22年)10月に水漏れを感知する漏水検知システムが作動し操業を停止。県は対策を行い操業を再開させたが2012年(平成24年)12月に再度検知システムが作動し操業が停止された[3]。この影響により赤字額はさらに膨らむ形となり、さらに10億円の追加投資と施行業者がこれ以上の対策は不可能と回答したことから[2]、横内正明知事は2013年(平成25年)11月に施設の閉鎖を表明した[5]。
山梨県では最終的に赤字額は55億円となる見込みとしている。
脚注
- ^ トイレのない県〈上〉(2013年3月26日、朝日新聞)
- ^ a b c 山梨県環境整備センターの主な経緯(山梨県庁)
- ^ a b c トイレのない県〈下〉(2013年3月27日、朝日新聞)
- ^ センターの収支および損害への対応(山梨県庁)
- ^ 明野処分場を閉鎖 知事が存続断念表明へ 最終赤字50億円超(2013年11月13日、山梨日日新聞)