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鑑識

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鑑識(かんしき、: Crime lab)とは、一般に(特に犯罪鑑識)は犯罪捜査の過程で、犯罪現場に残る指紋や足跡、血痕、毛髪、唾液、皮膚片、体液、服の繊維などの現場資料、文書の筆跡などを科学的方法を用いて採取・検出・保全・分析・照合・鑑定することを言う[1]。より高度な分析や鑑定は民間の研究所や科学捜査研究所警察庁科学警察研究所に委託する[2]。これら鑑識および研究所で行われることを総合して法科学という。

概要

犯罪や事件が起きた時、鑑識官(鑑識係)が現場に到着し、現場保存、現場写真の撮影、現場観察、現場資料(遺留証拠)の採取及び押収などを行う[1]。採取した資料の一般的な分析は鑑識官が行い、必要に応じて民間を含む研究所等に委託して専門分野の研究員(法科学者)が資料の調査・分析などを担当することになる。その結果を捜査の役に立てたり、裁判における物証として用いる[2]

通常、鑑識を担当する鑑識官(鑑識課員)は都道府県の警察本部に設置されている刑事部鑑識課に所属し、警察に所属する地方公務員の警察職員であり、鑑識については警察学校等で学ぶ。

鑑識の歴史

19世紀後半から、捜査によって導かれた結論の正当性を科学的な分析結果によって証明するという概念が登場し、当初、警察技術(Police Technique)、警察科学(Police Science)、犯罪科学・犯罪鑑識学(Criminalistics)などと呼ばれていた。これがのちの後述する法科学(Forensic Science)へと発展していった[3]

1893年、犯罪科学の祖、オーストリアの検事・予審判事で刑法学者のハンス・グロス英語版(Hans Gross 1847~1915)が「刑事犯罪予審判事必携の書」を出版し、犯罪鑑識と裁判に科学的理論をもたらした。1910年フランス、リオンの警察技法研究所の初代所長エドモンド・ロカールは、グロスの理論を犯罪捜査の実践へ利用し「犯罪科学全書」にまとめ「フランスのシャーロック・ホームズ」と呼ばれた。

1923年にはロサンゼルスに法科学研究所、1932年にはFBIの法科学研究所が設立される。1948年、日本に「科学警察研究所」の前身である「科学捜査研究所」が設立された。そしてアメリカ法科学学会や日本法科学技術学会、国際的組織の国際法科学会といった学会も組織されていった[3]

個々の鑑識の分野については指紋のように歴史のある分野もありつつ、日本では法科学自体は歴史が浅く、いまだ法科学という言葉自体なじみが薄い[3]

主な手法

法科学

事件の解決と法廷における立証を目的として用いられる応用科学であり、科学的方法を用い、司法の原則に則り刑法等に適合した証拠分析を行う事、及びその手続のことを言う。鑑識や警察鑑定でおこなうことの範囲を広げ、それをサイエンスとして発展させ、系統立ててまとめたものである。

出典

  1. ^ a b 現場鑑識活動実施要領”. 鳥取県警察. 2019年5月12日閲覧。
  2. ^ a b 業務概要紹介”. 科学警察研究所. 2019年5月12日閲覧。
  3. ^ a b c 日本における犯罪鑑識科学の現状”. J-STAGE. 2019年5月12日閲覧。

関連項目

外部リンク