竜飛定点
竜飛海底駅 | |
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ホーム(2013年6月13日) | |
たっぴかいてい Tappi-kaitei* | |
◄津軽今別 (19.5 km) (23.0 km) (臨)吉岡海底► | |
所在地 | 青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜[1] |
所属事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
所属路線 | 海峡線 |
キロ程 | 32.5 km(中小国起点) |
電報略号 | タヒ |
駅構造 | 地下駅 |
ホーム | 2面2線[1] |
乗降人員 -統計年度- |
0人/日 -2012年- |
開業年月日 | 1988年(昭和63年)3月13日[1] |
廃止年月日 | 2014年(平成26年)3月15日** |
乗換 |
体験坑道駅 - 青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線 |
竜飛定点(たっぴていてん)[2][注 1]は、青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜(みんまやたつはま)にある、北海道旅客鉄道(JR北海道)の施設である。海峡線(津軽海峡線)の青函トンネル内部にある。
概要
青函トンネルの青森県側の定点であり、同トンネルの海底部に位置する。非常時の旅客避難所および保線基地、トンネルの維持に必要な各種機械類の設置を目的として計画され、1988年(昭和63年)3月13日の海峡線(津軽海峡線)開業時に竜飛海底駅(たっぴかいていえき)として設置された[3]。吉岡海底駅とともに、青函トンネル内に設置された駅の一つであったが、一般的な意味での「駅」とは異なり、海底駅見学整理券を持った見学者以外の一般旅客の利用はできず、また非常時と(保守・工事に従事する)係員以外、地上への出入りも不可能であった[注 2]。
海底駅時代は当駅に停車する列車から下車して見学することも、地上の青函トンネル記念館を経由して見学することもできた(いずれも有料)。ただし、記念館側から入る場合は体験坑道の見学のみが可能で、プラットホームへ行くことはできなかった。逆に、当駅側から入った見学者は青函トンネル竜飛斜坑線を使って記念館に上がった際に、復路のケーブルカーの出発時間までなら記念館の外に出ることも可能であった。ただし、国道339号が冬季通行止めとなる11月中旬から4月下旬までの間、同国道沿いに位置する青函トンネル記念館も休館になる場合が多く、その期間は駅の見学コース自体が設定されていなかった。見学コースは当初「竜飛海底駅見学コース」が設定され、「竜飛記念館コース」(当駅と青函トンネル記念館見学)が追加、のちに一本化された。
北海道新幹線の工事に伴い、見学者向けの停車および見学コースの営業は2013年(平成25年)11月10日をもって取りやめられることになり[4]、最後の土日となる11月9日・10日には函館支社によるツアーが企画された[5]。その後当駅は2014年(平成26年)3月15日をもって、正式に廃止された[6][7][8]。駅が廃止された後も、緊急時のために避難設備は残され[9]、新幹線仕様の避難施設として改修された[10]。
当定点は海面下135.0mに位置している。竜飛海底駅であった当時において、隣の吉岡海底駅(海面下149.5m)が休止されてからは、日本一低い位置にある営業中の[注 3]鉄道駅であった[11][注 4]。
駅としての営業を終了した後も、国道339号の青函トンネル記念館から当定点の体験坑道を見学するコースは存続している(有料)。ただし、冬季は青函トンネル記念館が休館となり、体験坑道の見学も休止となる。
歴史
- 1988年(昭和63年)3月13日:北海道旅客鉄道(JR北海道)海峡線(津軽海峡線)の開業に伴い、竜飛海底駅(たっぴかいていえき)として開業[1]。
- 1990年(平成2年)7月:天皇明仁及び皇后美智子(いずれも当時)が竜飛海底駅を視察。
- 2002年(平成14年)12月1日:東北新幹線の盛岡駅 - 八戸駅間開業に伴うダイヤ改正を実施。快速「海峡」が廃止され、津軽海峡線の普通列車が消滅したことに伴い、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」(「はつかり」から改称)のみの停車となる[12]。
- 2013年(平成25年)11月11日:休止駅となり、全ての列車が停車しなくなる[7]。なお、10日まで停車していた列車の所要時分に変化はなかった。
- 2014年(平成26年)3月14日:竜飛海底駅が廃止[8]、竜飛定点(たっぴていてん)となる。
- 2015年(平成27年)4月3日:青函トンネル内を走行していた特急「スーパー白鳥34号」の車両下で発煙する事故が発生し、乗客・乗員が竜飛定点を経由して地上へ避難する。青函トンネル開業後初めて、乗客の避難に使用される[13][14]。
- 2016年(平成28年)
駅構造
竜飛海底駅は相対式ホーム2面2線を持つ地下駅だった。待避線などは設置されておらず、列車の待避などはできなかった。休止される直前は特急「白鳥」・「スーパー白鳥」のうち2往復のみが停車していた。
本線に設置されていたプラットホームは在来線規格で、幅は84cmと非常に狭いものだった[注 5]。これは、避難用に新幹線規格の状態で設置された従来のホームと在来線列車との間には隙間があり、在来線列車とホームの間で転落する危険があるとの判断から、海底駅見学開始時に運輸省からの指導によってそれらを埋めるために設置されたものであった[注 6]。駅の廃止後は新幹線車両の通過に支障を来すため、撤去された。
旅客扱いをする特急「白鳥」・「スーパー白鳥」では2号車のドアを非常ドアコックで開閉する、珍しい駅であった。なお、快速「海峡」が運転されていた頃は函館行1号車、青森行12号車のみ開き、その他は締め切り(ドアカット)されていた。
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竜飛海底駅の駅名標
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竜飛海底駅見学整理券と接続特急指定券
駅周辺
- 横取基地
- 保守用車両の待避・留置場所および資材の搬入口として設置された。現在は上り線側のみの使用となっており、下り線側に線路は敷設されていないが、新幹線建設に伴い整備される予定である。
- 避難所
- 列車火災や停電などの際に、旅客が一時的に避難する場所として設置され、約1,000人を収容可能である。300人が座れるベンチのほか、簡易トイレ、公衆電話が設置されている[注 7]。海底駅だった頃には、見学者向けに青函トンネルの概要や建設時の様子を伝えるパネルなどが設置されていた。
- 鋼索斜坑
- 記念館駅と体験坑道駅(海面下140m)を結ぶケーブルカー「もぐら号」(青函トンネル記念館 青函トンネル竜飛斜坑線)が通る斜坑で、距離は778mである。上記休館期間を除き旅客輸送を行っている。また、斜坑には階段が併設されており、竜飛海底駅のある位置から地上まで2,247段ある。
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ホームと連絡誘導路とを結ぶ通路
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連絡誘導路
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避難所
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海底公衆電話
隣の施設
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
- 海峡線(津軽海峡線)
- 北海道新幹線
- 奥津軽いまべつ駅 - (竜飛定点) - (吉岡定点) - (湯の里知内信号場) - (木古内分岐部) - 木古内駅
脚注
注釈
- ^ 2014年3月15日以降、特急「スーパー白鳥」に使用されている789系電車・785系電車の案内表示でも、この名称が使用されている。
- ^ ただし、『交通公社の時刻表 1988年3月号』には、「当分の間、地上との出入りは出来ない」旨が注釈で記載されており、開業当初には一般的な乗降を取り扱うことが計画されていた可能性を否定できない。
- ^ 竜飛海底駅と吉岡海底駅の廃止日は同一であるが、吉岡海底駅の方が先に営業を休止している。
- ^ 現在最も低い位置にある駅は、青函トンネル竜飛斜坑線の体験坑道駅である。また、JRグループの駅では東京駅の京葉線地下ホーム(海抜 -29.19m)となる。また、同グループの駅で最も高い位置にある鉄道駅は、長野県南佐久郡南牧村にある海抜1,345.67mの野辺山駅である。
- ^ ホームに人が留まっていると危険であるため、見学者の乗降は先進導坑、作業坑への通路に面する扉のみで行われていた。
- ^ 将来的な撤去を前提にしていた事から、設置は簡易的なものであった。
- ^ 工事用に敷設していた電話回線を利用して、NTTが世界で初めて設置した海底公衆電話である。開業当初はテレホンカード専用だったが、のちに10円硬貨専用(ピンク電話)に変更されている。
出典
- ^ a b c d 『週刊 JR全駅・全車両基地』 31号 青森駅・弘前駅・深浦駅ほか、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013年3月17日、23頁。
- ^ a b "北海道新幹線 冬期対策設備の概要について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 15 January 2015. 2015年1月15日閲覧。
- ^ “杉山淳一の時事日想:「竜飛海底駅」が教えてくれた、新たな“商機””. Business Media 誠 (ITmedia). (2013年11月15日). オリジナルの2013年11月16日時点におけるアーカイブ。 2013年12月20日閲覧。
- ^ “青函トンネルの海底駅 事実上廃止へ”. NHKオンライン (日本放送協会). (2013年8月2日). オリジナルの2013年8月5日時点におけるアーカイブ。 2013年8月2日閲覧。
- ^ "「竜飛海底駅・青函トンネル記念館見学ツアー」を発売いたします" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道函館支社. 8 October 2013. 2013年10月8日閲覧。
- ^ “青函トンネル海底駅の廃止検討 来春、新幹線工事で”. 47NEWS(共同通信) (全国新聞ネット(共同通信社)). (2013年8月2日). オリジナルの2015年1月28日時点におけるアーカイブ。 2015年1月28日閲覧。
- ^ a b "駅の営業終了について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 13 September 2013. 2014年6月18日閲覧。
- ^ a b "平成26年3月ダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 20 December 2013. 2014年6月18日閲覧。
- ^ “JR北海道、竜飛海底駅を廃止へ”. 東奥日報(Web東奥) (東奥日報社). (2013年8月3日). オリジナルの2013年8月3日時点におけるアーカイブ。 2013年8月3日閲覧。
- ^ “吉岡海底など3駅、来春廃止 JR北海道、新幹線工事で”. 北海道新聞(どうしんウェブ) (北海道新聞社). (2013年8月2日). オリジナルの2013年8月16日時点におけるアーカイブ。 2013年8月2日閲覧。
- ^ 種村直樹『最新鉄道旅行術 きっぷ、のりもの、やど…、旅のプランニングから整理まで』JTB、1997年1月、240頁。ISBN 978-4-533-02640-9。ISBN 4-533-02640-0。
- ^ "平成14年12月ダイヤ改正について" (Press release). 北海道旅客鉄道. 20 September 2002. 2002年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月19日閲覧。
- ^ "特急スーパー白鳥34号車両から白煙が出た事象について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 4 April 2015. 2015年4月4日閲覧。
- ^ “青函トンネルで特急から煙 乗客120人、2人搬送”. 北海道新聞(どうしんウェブ) (北海道新聞社). (2015年4月3日). オリジナルの2015年4月3日時点におけるアーカイブ。 2015年4月3日閲覧。
- ^ "青函トンネル 旧竜飛海底駅(竜飛定点)および旧吉岡海底駅(吉岡定点)における携帯電話サービスの提供開始について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 12 February 2016. 2016年2月13日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2016年2月13日閲覧。
- ^ "青函トンネル 旧竜飛海底駅(竜飛定点)および旧吉岡海底駅(吉岡定点)における携帯電話サービスの提供開始について" (Press release). NTTドコモ. 12 February 2016. 2016年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月13日閲覧。
- ^ “JR貨物 整備新幹線小委員会ヒアリング資料” (PDF). 国土交通省 (2012年2月27日). 2013年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月2日閲覧。
- ^ “開業に向けた取り組み(北海道新幹線スペシャルサイト)”. 北海道旅客鉄道. 2016年1月2日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 竜飛海底駅 - 北海道旅客鉄道
- 青函トンネル - 北海道旅客鉄道函館支社
- 青函トンネル記念館 - 公式サイト
- 海底駅人気 青函トンネル内、3月廃止で - YouTube(朝日新聞社提供、2013年11月2日公開)