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硫酸亜鉛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
硫酸亜鉛
IUPAC名 硫酸亜鉛
別名 White Vitriol
組成式 ZnSO4
式量 161.47 g/mol
形状 無色結晶
結晶構造 斜方晶
CAS登録番号 7446-20-0(7水和物)
7733-02-0(無水物)
密度 1.97 g/cm3, 固体(7水和物)
水への溶解度 54 g/100 mL (20 °C)
融点 100 °C
出典 ICSC(7水和物)

硫酸亜鉛(りゅうさんあえん Zinc sulfate)は、硫酸亜鉛の塩である。水溶液から結晶化させると、温度によって7、6、または1水和物が得られる。皓礬(こうばん)とも呼ばれる斜方晶で水によく溶け、繊維工業医薬品、また条件付きで食品添加物[1]にも使用される。

粗製亜鉛から湿式精錬によって亜鉛を精錬するときの中間生成物である。

7水和物では、H2O6分子が亜鉛に、1分子が硫酸イオンの酸素に配位している。

加熱すると約250°Cで無水物(密度3.74g/cm3)となり、600°CでZn3O(SO4)2に、930°Cで酸化亜鉛ZnOに分解する。

製法

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炭酸亜鉛酸化亜鉛を硫酸に溶かして得られる。亜鉛を直接硫酸に溶かしても得られるが、このとき副生する水素により硫酸が還元され不純物が生じるため用いられない。

再結晶で得られる結晶は0-39°Cで7水和物、39-60°Cで6水和物、60-100°Cで斜方晶系である。他にも不安定な単斜晶の7水和物、4水和物、2水和物も知られている。

用途

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工業的には顔料媒染剤、木材の防腐剤亜鉛めっき液として利用される。農業用殺菌剤として1948年9月27日に登録を受けたが、2010年1月31日に失効した[2]。希薄溶液は医薬品として、収斂剤点眼薬に利用される。

関連項目

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脚注

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  1. ^ 母乳代替食品の微量栄養素強化の目的に指定された濃度以下での使用に限定される。添加物使用基準リスト、厚生労働省行政情報
  2. ^ 登録失効有効成分一覧(農林水産消費安全技術センター)

参考文献

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  • 長倉三郎 ほか(編)『理化学辞典』第5版 CD-ROM版、岩波書店、1998年。
  • 水町邦彦「硫酸亜鉛」『世界大百科事典』CD-ROM版、平凡社、1998年。

外部リンク

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