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Kilodegree Extremely Little Telescope

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

The Kilodegree Extremely Little Telescope (KELT) は、2台のロボット望遠鏡を用いたサーベイ観測で、トランジット法太陽系外惑星を発見するための観測システム、およびその観測プロジェクトである。プロジェクトは、オハイオ州立大学[1]ヴァンダービルト大学[2]リーハイ大学[3]の物理学・天文学専攻と、南アフリカ天文台英語版 (SAAO)[4]の共同で行われている。

KELT 望遠鏡

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KELT は、アメリカ合衆国アリゾナ州にある KELT-North と[5]南アフリカ共和国の SAAO にある KELT-South[6] に設置された2つの望遠鏡から成り立っている。

それぞれの KELT 望遠鏡は、4096 × 4096 ピクセルの Apogee CCD の前面に設置された、4.2 cm 口径の広視野 (26度 × 26度) 望遠レンズで構成されている[7]。また狭い視野での観測モードのための、7.1 cm 口径の狭角レンズ (10.8度 × 10.8度) を設置することもできる。KELT-North では Apogee AP16E カメラを使用しているが、KELT-South では Apogee U16M を使用している[7]。光学アセンブリとカメラは Software Bisque 社製の Paramount ME マウントに取り付けられている[7]

KELT-North

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KELT-North は、アリゾナ州ソノイタのWiner Observatoryに設置された望遠鏡である。ツーソンからは車で1時間程度の距離にある。KELT-North は2004年にこの天文台に設置され、2006年に観測運用が始まった[8]。以降、機器の故障や悪天候による中断を挟みながらも継続的に稼働している。

KELT-South

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KELT-South は南アフリカ共和国サザランド英語版に SAAO が所有し運営している天文観測地点に設置されている望遠鏡である。ケープタウンからは北方に 370 km 離れた位置にある。KELT-South は2009年に設置された。

目標と運用

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KELT は、見かけの等級が 8〜10 の恒星をトランジットする系外惑星の発見を目的としている。この明るさは、視線速度法を用いた系外惑星サーベイ観測の対象となる恒星の明るさよりはわずかに暗いが、トランジット法を用いた大部分のサーベイ観測の対象よりは明るい。

2つのKELT望遠鏡は、あらかじめ決められた空の領域を、天候の良い日は毎晩連続的に観測する。観測の際の露光時間は全て150秒であり、KELTがターゲットとしている明るさの恒星を観測するのに最適化されている。

2台の望遠鏡のうち先に設置されたのはKELT-Northで、前述のように2006年に観測を開始した[8]。以降2020年3月までに26個の惑星を発見し、プロジェクトに関連した数十の論文が出版されている[9]

KELTの観測のうち惑星トランジットの検出を目的としたものは2020年3月に終了することが発表された。同様の機能を持つTESSの運用が始まったことが理由に挙げられている[9]。トランジット以外の観測や、蓄積されたデータの処理・公開は、引き続き行われる[9]

KELT が発見した系外惑星

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KELTは現在までに複数の系外惑星と、少なくとも1つの褐色矮星を発見している。

恒星 星座 赤経 赤緯 視等級 距離 (光年) スペクトル分類 惑星 質量
(MJ)
半径
(RJ)
密度
(g/cm3)
公転周期
()
軌道長半径
(au)
離心率 傾斜角
(°)
発見年
KELT-2A ぎょしゃ座  06h 10m 39s +30° 57′ 26″ 8.77 420 F7V KELT-2Ab 1.486 1.306 4.11379 0.05498 0.185 88.5 2012
KELT-3 しし座  09h 54m 34.0s +30° 38′ 24″ 9.8 580 F6V KELT-3b 1.418 1.333 0.75 2.70339 0.04117 0.0 84.6 2012
KELT-4A しし座  10h 28m 15.011s +25° 34′ 24″ 9.98 685 F8V KELT-4Ab 0.884 1.706 2.9895933 0.04321 0.03 83.11 2013
KELT-6 かみのけ座  13h 03m 56s +30° 38′ 24″ 10.38 724 F9IV KELT-6b 0.442 1.18 0.311 7.84563 0.079 0.029 +0.016
−0.016
88.81 2013
KELT-7 ぎょしゃ座  05h 13m 11s +33° 19′ 05″ 8.54 420 F2V KELT-7b 1.29 1.533 0.442 2.7347749 0.04415 0.0 83.76 2015
KELT-8  18h 53m 13s +24° 07′ 39″ 10.83 770 G2V KELT-8b 0.874 1.86 3.24406 0.04571 0.035 82.65 2015
KELT-9 はくちょう座  20h 31m 27s +39° 56′ 20″ 7.56 620 KELT-9b 2015
KELT-10  18h 58m 11s −47° 00′ 12″ 10.8 597 KELT-10b 0.679 1.399 4.166285 0.0525 88.61 2015
KELT-11  10h 46m 50s −9° 23′ 57″ 8.0 320 G8 KELT-11b 0.195 1.37 4.736529 0.06229 0.0 85.8 2016
KELT-14 KELT-14b 2015
KELT-15  7h 49m 40s −52° 07′ 14″ 11.44 656 KELT-15b 0.92 1.443 3.329441 0.04613 79.67 2015
KELT-16  20h 57m 04s +31° 39′ 40″ 11.9 1190 F7V KELT-16b[10] 2.75 1.415 0.9689951 0.02044 2016
KELT-17  08h 22m 28s +13° 44′ 07″ 9.29 685 A KELT-17b 1.31 1.525 3.0801716 0.04881 2015
KELT-18  14h 26m 06s +59° 26′ 39″ 10.1 1014 F4V KELT-18b[11] 1.18 1.57 2.8717518 0.0455 0.0 88.86 2017
KELT-19  07h 26m 03s +07° 36′ 57″ 832 A8V KELT-19b 4.07 1.91 4.6117093 85.41 2017
KELT-20  19h 38m 38s +31° 13′ 09″ 7.58 A2V KELT-20b 3.518 1.735 3.4741085 0.0542 86.1 2017
KELT-21  20h 19m 12s +32° 34′ 52″ 10.5 1354 A8V KELT-21b 3.91 1.586 3.6127647 0.05224 86.46 2017
KELT-22A  23h 36m 40s −34° 46′ 40″ 11.1 711 G2V KELT-22Ab 0.011 0.11 1.3866529 0.02508 2018

また、以下の褐色矮星も発見されている。

恒星 星座 赤経 赤緯 視等級 距離 (光年) スペクトル分類 惑星 質量
(MJ)
半径
(RJ)
密度
(g/cm3)
公転周期
()
軌道長半径
(au)
離心率 傾斜角
(°)
発見年
KELT-1 アンドロメダ座  00h 01m 26.92s +39° 23′ 01.7″ 10.00 854 F5V KELT-1b 27.23 1.110 1.217513 0.0247 0.0 87.80 2012

出典

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  1. ^ Department of Astronomy |”. The Ohio State University. 2019年2月22日閲覧。
  2. ^ Astronomy Group | College of Arts and Science | Vanderbilt University”. Vanderbilt Astronomy Group. 2019年2月22日閲覧。
  3. ^ Department of Physics | Physics At Lehigh”. Department of Physics. Lehigh University. 2019年2月22日閲覧。
  4. ^ SAAO”. South African Astronomical Observatory. 2019年2月22日閲覧。
  5. ^ Pepper, Joshua et al. (2007). “The Kilodegree Extremely Little Telescope (KELT): A Small Robotic Telescope for Large-Area Synoptic Surveys”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 119 (858): 923–935. arXiv:0704.0460. Bibcode2007PASP..119..923P. doi:10.1086/521836. 
  6. ^ Pepper, Joshua; Kuhn, Rudolf B.; Siverd, Robert; James, David; Stassun, Keivan (2012). “The KELT-South Telescope1”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 124 (913): 230–241. arXiv:1202.1826. Bibcode2012PASP..124..230P. doi:10.1086/665044. ISSN 00046280. 
  7. ^ a b c KELT for Scientists”. KELT. 2019年2月22日閲覧。
  8. ^ a b about KELT”. KELT. 2020年9月14日閲覧。
  9. ^ a b c KELT Transit Search to conclude after 17 years of work”. KELT (2020年3月9日). 2020年9月14日閲覧。
  10. ^ Oberst, Thomas E.; Rodriguez, Joseph E.; Colón, Knicole D.; Angerhausen, Daniel; Bieryla, Allyson; Ngo, Henry; Stevens, Daniel J.; Stassun, Keivan G. et al. (2017). “KELT-16b: A Highly Irradiated, Ultra-short Period Hot Jupiter Nearing Tidal Disruption”. The Astronomical Journal 153 (3): 97. arXiv:1608.00618. Bibcode2017AJ....153...97O. doi:10.3847/1538-3881/153/3/97. ISSN 1538-3881. 
  11. ^ McLeod, Kim K.; Rodriguez, Joseph E.; Oelkers, Ryan J.; Collins, Karen A.; Bieryla, Allyson; Fulton, Benjamin J.; Stassun, Keivan G.; Gaudi, B. Scott et al. (2017). “KELT-18b: Puffy Planet, Hot Host, Probably Perturbed”. The Astronomical Journal 153 (6): 263. arXiv:1702.01657. Bibcode2017AJ....153..263M. doi:10.3847/1538-3881/aa6d5d. ISSN 1538-3881. 

関連項目

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外部リンク

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